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地獄道理一番目憐憫

地獄道理一番目憐憫

敬虔な夢想家

祭壇を飾る美しい花々を、一輪づつ摘み取る。萎れてすらいない首を折る。指先が緑に濡れてべたつく。青臭い匂いがした。咲き誇る花に翳りを、私の手に傷はない。棘の削がれたものばかり。放った先は花籠か、屑籠か。冠の作り方を教えてくれる人はいなかった。...
2025.11.29
地獄道理一番目憐憫
地獄道理一番目憐憫

難解なフレーバー

「オマエの歌はまるでラトルね」 いつだって一番奥に座っている。気がつけば扉からすぐの椅子に腰掛けて、何をするでもなく、ぼぅ、と視線を寄越している。ともすれば微睡んでいるようにも見えるその様を、この教会以外で認めたことがない。「騒音だって言い...
2025.11.29
地獄道理一番目憐憫
地獄道理一番目憐憫

生涯最大の幸福

私は地獄に堕ちた。死因は老衰、ぴんぴんころりの上等な人生だった。齢十八で付き合った男と結婚し、望み通りのキャリアを築き共働きながら子供も産んだ。ベビーシッターやハウスキーパー、その他ありとあらゆる手段を使って無理せず卒なく子育てに励み、つい...
2025.11.29
地獄道理一番目憐憫
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