短編 かるい骨 つんと入れた切先をまっすぐに引く。うまくやりゃ、まんまるの珠がまろぶ。尾椎のおわりの骨だ。腑を抜いて、丸のまま皮を剥ぐ。脂肪で滑るから、木綿の手拭きで押さえるといい。肉は存外に柔い、落ちる寸前の桃によく似ている。それからこういう手合いは雑に... 2025.12.04 短編
短編 天然イミテーション 「荒巻くん、わたくしね、怒ってるのよう、どうして女の子と連絡先を、交換なんてなさるの、わたくし以上に愛らしい子がおりまして?」 つんと尖らした唇でつとつと文句を言う女。まだるっこしい喋り方で、人を待たせること当然としている。ちまこくてやわい... 2025.12.04 短編